心の中でゆっくりさよならをとなえる

めっきり寒くなった。テレビでシチューのCMを見ると、そうだ今夜は温かいシチューにしようと素直に思ってしまうほど寒い。

寒くなるとお風呂の時間も長くなる。のんびりゆっくり湯船に浸かって体をあたためる。お風呂で読書をすることについては前にも書いた。

お風呂で読書
毎回というわけではないけれど、たまにお風呂で本を読む。といっても、半身浴なんて洒落たことはしないで肩までしっかりと浸かるのが好きなので読書をするのはほんの短い時間だけれど。 だから、私がお風呂で読むの...

昨日までのお風呂のお供は川上弘美の『ゆっくりさよならをとなえる』(新潮文庫)だった。川上さんのエッセイが好きで、この本も何度も読み返している。特に本のことについて書いたエッセイが好きだ。川上さんの書評集も読んだけれど、書評として書かれたものよりも本のことにさらりと触れているエッセイがいい。本の内容についての話だけじゃなく、本を買ったり、拾ったり(川上さんはなぜか本をよく拾うのだそうだ)する話も面白い。

「古本屋街へ」というエッセイで、今日はできるだけ本を買わないと決心して家を出たのに、文庫本や図鑑、小説、評論などの古本を買ってしまい、リュックサックに入れて帰る川上さん。

十何冊の本を背負い、コーヒーも飲まず、いそいで地下鉄に乗って、部屋に帰った。買ってきた本を積みあげ、背表紙をゆっくりと撫でた。疲れた足をもみ、はなうたを歌った。それから、ていねいに、緑茶を淹れた。秋の午後の日ざしが、明るい。

私は古本は滅多に買わないけれど、買った本の背表紙をゆっくりと撫でたくなる気持ちはわかる。

それから、「冬の夜にすること。」から始まる表題作「ゆっくりさよならをとなえる」から。

カフェオレをつくる。
カフェオレを飲む。
途中でカフェオレに飽きて残す。

これもちょっとわかる。コーヒーじゃなくてカフェオレの気分でカフェオレを作って飲むんだけど、途中でもういいやってなる時がある。

さて、今夜のおふろ本はどれにしようかな。

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