『ぼくとペダルと始まりの旅』自転車でどこかに行きたくなる

ドラマ『本棚食堂』で観て、いつか作ろうと思っていた『テロリストのパラソル』に出てくるホットドッグをようやく作った。朝からキッチンにカレーの匂いが漂う。夫から美味しいと言われて(言わせた?)満足した。

『テロリストのパラソル』のホットドッグ
ドラマ『本棚食堂』で作っていた藤原伊織の『テロリストのパラソル』に出てくるホットドックのレシピについて。

ロン・マクラーティ『ぼくとペダルと始まりの旅』(新潮文庫)を読んだ。

主人公のスミシーは「体重百二十六キロ、年齢四十三歳の、ゴダード・トーイズ社の製品検査係」。両親が交通事故で亡くなり、父親宛ての手紙で長い間消息不明だった姉べサニーの死を知ったスミシーはかつての愛車、自転車のラレーに乗って姉が眠るLAへと旅立つ。

現在と過去を交互に描くという手法で物語は進む。姉ベサニーには“声”が聞こえて、その声が聞こえると自分を傷付けたり、ずっと同じポーズをとったまま何時間、何十時間もそのままでいることがあった。べサニーは度々家族の前から姿を消し、その度にスミシーや両親が探し回って見つけ出しては家に連れ帰っていたのだけれど、とうとう完全に失踪してしまう。両親が亡くなった直後にべサニーも既に亡くなっていたことを知ってショックを受けたスミシーは衝動的に長い間乗っていなかった自転車に乗って家を飛び出し、そのまま姉の遺体が保管されているLAに向かうのだけど、何しろもう何年も自転車になんて乗っていないし体重は126キロもある。しかし、自転車で旅をするうちにスミシーの体は少しずつ引き締まっていく。

『東の果て、夜へ』を読んで海外小説のロードノベルが無性に読みたくなって、前から気になっていた『ぼくとペダルと始まりの旅』を読んだのだけど、読み終えたら自転車でどこか遠くに行きたくなった。これがもしスミシーがマッチョな若者で力強くペダルを踏んじゃうようだったら、そうは思わなかっただろうな、きっと。

あとがきによると、この小説はスティーヴン・キングがオーディオ・ブックで聞いて、コラムで絶賛したのがきっかけで本として出版されたのだそうだ。ただのロードノベルではなく、ちょっと不思議な雰囲気が漂っていて、確かにスティーヴン・キングが好きそうな小説だ。私はスティーヴン・キングの小説を読んだことはないけど(って書いた後で思い出したけど『ファイアスターター』を読んでいた)。面白いのに絶版で電子書籍にもなっていないのが残念。

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買った本

エリザベス・ベア『スチーム・ガール』(創元SF文庫)、三浦しをん『仏果を得ず』(双葉文庫)購入。

『スチーム・ガール』は文庫で1200円超えって!と思ったけれど、良い百合SFだという評判なので買ってしまった。

スルーしていた『政と源』が面白くて、『仏果を得ず』もスルーするのはもったいないと思って買った。

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