三浦しをん『ののはな通信』百合を楽しみにしていたのだけれど

朝起きると肩がものすごく凝っていた。思い当たる節は…あった。三浦しをんの『ののはな通信』(角川文庫)を2日前の夜から読み始め、前日も朝から夕方まで読み続けていたのだ。夢中になっていたのでずっと同じ姿勢(仰向けに寝ながら読む)だったせいだろう。認めたくはないけれど歳のせいもあるのかもしれない。長時間の読書には体力も必要なのだ。

三浦しをんは好きな作家の一人なので、『ののはな通信』が百合でなくても読んだが、百合だと知っていつも以上に文庫化を心待ちにしていた。

『きみはポラリス』に収録されている「夜にあふれるもの」がキュンとはしないけどちょっといい百合だったので、しをんさんが書く長編百合小説を楽しみにしていたのだけれど、結論から言うと、『ののはな通信』はかなりストレートな百合小説であるにも関わらず、その百合が私にはグッとこなかったし、キュンとしなかった。

『ののはな通信』は野々原茜と牧田はなの往復書簡(時には授業中にまわすメモ)という形で描かれているのだけど、手紙の文体、特に高校時代のはなの文体が私にはどうにもむず痒い。

例えば昭和59年6月25日消印のはなからののへの手紙。

 

やっほーい、試験終わったね!結果を考えると、しょぼーんだけど。
「やっほーい」と「しょぼーん」を繰り返すことばっかりで、疲れちゃうわ。
週末はテレビばかり見ちゃって、ちっとも勉強が手につかなかった。だから、試験最終日の今日の科目は、ほかに輪をかけてめためたでした。追試になったら、のの、ヘルプー。

 

文体だけでなく、はなが私の苦手なタイプだったので序盤はこのまま読み続けられるか不安になったのだけれど、そこは三浦しをん。甘々な百合になるかと思いきや意外な展開になって、そこから一気に引き込まれた。往復書簡のみの長編小説でここまで面白いのはさすが。気付いたら夢中になって読んでいて、肩がごりごりに凝ってしまったというわけなのだ。

小説としては面白かったのだけれど、期待していた百合が私には全く響かなかったのは残念。勝手に期待していただけなのだけど。『星間商事株式会社社史編纂室』の作中作のBL小説にはBLには百合ほどに関心のない私でもキュンとしたんだけどなあ。

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