恩田陸『祝祭と予感』お楽しみデザートのようなスピンオフ短編集

Kindle Oasisを購入してからお風呂に持ち込むのは、文庫本から完全にKindleに代わった。私がお風呂で読むのはエッセイか短編小説か漫画。庄野潤三の『自分の羽根』などは、結構前からお風呂でちびちびと読んでいて、今はどうやら73%まで読んだところらしい。

 

電子書籍のセールで買った恩田陸の『祝祭と予感』(なんと356円!)もお風呂で一話ずつ読んだ。『祝祭と予感』は、『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編集。

 

 

文庫本で上下巻の長編『蜜蜂と遠雷』には圧倒され、のめり込んだ。『蜜蜂と遠雷』がフルコースのメインディッシュだとすると、『祝祭と予感』はデザート。『蜜蜂と遠雷』が濃厚とんこつラーメンだとしたら、『祝祭と予感』はさっぱり塩ラーメン。お腹いっぱい大満足の後、するりと味わうのにちょうど良い。

『蜜蜂と遠雷』のメインである亜夜、マサル、塵が登場する「祝祭と掃苔」などは、ちょっと拍子抜けするくらいさっぱりしている。まあ、スピンオフでまでメインキャラにスポットを当てなくてもいいか。

私のお気に入りは、亜夜の友人・奏が主人公となる「鈴蘭と階段」。奏が自分の伴侶となりうるヴィオラを探し求めているところにプラハにいる亜夜から電話がきて…という、ほんのちょっと不思議で素敵な話。

 

あなたは、そんな音が出せるのね。本当のあなたは———あなたのヴィオラは、そういう音だったのね。

 

奏のその後を描いたこんな素敵なストーリーを読むことが出来たのは、スピンオフ様様だ。

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